南宋絵画

 平成16年5月1日、根津美術館で開催中の本展へ行ってきました。

 日本に残る南宋画の秀品が一同に会するという空前絶後の展覧会と言っていいだろう。元々の中国にも残っていない作品もある。牧谿(もっけい)や玉かん(さんずいに間)の作品がそうである。日本にこれだけの作品が残っているのは、足利将軍家のコレクションである東山御物として、代々受け継がれてきたからである。

 それでは、国宝を中心に紹介していきます。

 根津美術館蔵の伝李安忠の鶉図(うずらず)は、ふっくらとした羽と薄目を開けたような目が印象的である。

 東京の個人蔵の北宋第八代皇帝徴宗(きそう)筆の桃鳩図は、鳩の胸の赤い羽根と桃の花の白とが見事にマッチしている。

 京都高桐院蔵の李唐筆の山水図は2幅ある。一つは日本の耶馬渓のような深山を、水を入れた器を担う人物が歩いている図である。もう一方は滝が流れていて、やはり談論する風の人物が2人描かれている。

 根津美術館蔵の牧谿筆の漁村夕照図は、南宋画の最高傑作という(NHKの日曜美術館に出演していた画家がそう言っていた)。確かにもやに包まれた入り江で、いくつかの小舟が網を引き上げている図は、立体感があって何とも言えない味わいがある。

 文化庁蔵の高宗筆の宋高宗書徴宗文集序は、整った字が並んでいる。

 国宝は以上だが、この他にも重要文化財を含め、優品が60点ほど展示されている。 

 本展は、5月16日まで開催です。

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