最澄と天台の国宝

 平成18年4月1日、東京国立博物館で開催中の本展へ行ってきました。

 例によって、国宝を中心に紹介する。

 聖徳太子及び天台高僧像10幅のうち湛然(たんねん)は、横向きのポーズを取っている。薄く赤や緑の彩色が残っている。兵庫県一乗寺の所蔵である。

 光定戒牒(こうじょうかいちょう)は、光定和尚の菩薩戒の受戒証明書である。幅1mほどである。嵯峨天皇の筆であるが、さすが三筆の一人、うまいとしか言いようがない。延暦寺の所蔵である。

 伝教大師度縁案並僧綱牒は、京都・来迎院蔵であるが、以前紹介したので省略する。

 天台法華宗年分縁起は、最澄が、天台宗を年分度者(公認された得度者)に加えることを請願した上表文である。伝教大師筆で、細かい字が並んでいる。延暦寺の所蔵である。

 羯磨金剛目録は、延暦寺の所蔵であるが、以前紹介したので省略する。

 伝教大師請来目録は、最澄が中国に渡って取得した経巻類を日本に持ち帰るための明州の輸出許可証である。延暦寺の所蔵である。

 七条刺納袈裟は、132×260cmの布で、最澄が隋より請来したものである。ぼかした模様が一面にある。延暦寺の所蔵である。

 智証大師関係文書典籍46種のうち越州都督府過所尚書省司門過所は、円珍の入唐時、中国での通行許可証である。滋賀・園城寺蔵である。

 円珍贈法印大和尚位並智証大師諡号勅書は、小野道風筆、東京国立博物館蔵であるが、以前紹介したので省略する。

 円珍関係文書8巻のうち円珍戒牒は、東京国立博物館蔵であるが、以前紹介したので省略する。

 遺告は、京都・廬山寺蔵であるが、以前紹介したので省略する。

 法華経開結共10巻のうち巻第1は、東京・浅草寺蔵であるが、以前紹介したので省略する。

 一字蓮台法華経9巻のうち巻第3は、一文字ごとに赤や緑の蓮台が付いている。こんな経は初めて見た。福島・龍興寺蔵である。

 法華経一品経のうち厳王品は、埼玉・慈光寺蔵であるが、以前紹介したので省略する。

 金銅宝塔は、京都市左京区鞍馬寺経塚出土遺物200点のうちの一つで、高さ1mほどの立派な宝塔である。京都・鞍馬寺蔵である。

 宝相華蒔絵経箱は、延暦寺の所蔵であるが、以前紹介したので省略する。

 金銅宝相華唐草文経箱は、滋賀県大津市比叡山横川如法堂跡出土である。全体に鍍金されているが、表蓋に「妙法蓮華経」の文字が線刻されているのは珍しい。延暦寺の所蔵である。

 十六羅漢像は、第一尊者第十二尊者が出品されていた。現存最古だが、よく色彩が残っている。東京国立博物館蔵である。

 岩手・中尊寺大長寿院蔵中尊寺金色蔵堂内具として、2点が展示されていた。

 礼盤は、60cm四方、高さ15cmほどで、導師がその上に座したものである。

 螺鈿平塵燈台は、細長いもので、螺鈿が一部に残っている。

 岩手・中尊寺金色院蔵の中尊寺経蔵堂内具として、4点が展示されていた。

 螺鈿平塵案は、法具などを仏前に供えるための台であるが、螺鈿は見あたらなかった。

 磬架は、国宝附金銅孔雀文磬を懸ける法具である。金粉が台に少し残っている。

 金銅迦陵頻伽文華鬘は、迦陵頻伽が2人向き合っている。

 金銅幡頭は、旗で、天女が中央に埋め込まれている。

 阿弥陀経慈光寺経のうちは、以前紹介したので省略する。

 六道絵は、15幅全部が展示されていた。地獄の様子を描いたおどろおどろしいものが多い。滋賀・聖衆来迎寺蔵である。

 本展は、前半が4月16日まで、後半が4月18日から5月7日までの開催です。

 なお、本館で普段は見られない国宝を1件見た。14室に展示されている梨地螺鈿金装飾剣である。尾長鳥文が螺鈿で表されている。高位の公家が儀式の際に帯同したものである。

  以上

ホームへ戻る