エジプト文明展

 平成12年9月9日、東京国立博物館のエジプト文明展と記念講演会に行って来ました。

 村治講師の講演テーマは、「古代エジプトの神々と碑文」でした。

 子供ミュージアムというイベントで、エジプトの動物をクイズ形式で探させる試みの紹介、ヒエログリフの話、豊富なスライドでのエジプトの風景解説と興味深いものでした。ロータスが、ナイル河口デルタ地帯を、また、パピルスの茎がナイル本流を象徴していることを初めて知りました。

 展覧会の方は、先の東京都美術館のインダス文明展をさらに数倍上回る混雑ぶりでした。子供の数も多くて、あらためてエジプトの人気を認識しました。

 古王国時代(BC3000年〜2040年)の見物は、カバの形の石、ギザの河岸神殿から出土したメンカウラー王のトリアド(文字通りの3人並んだ像)、書記イメムの偽扉(扉に見せかけた絵とヒエログリフが描かれている)など。

 中王国時代(BC2040年〜1565年)では、ちょっと鼻が欠けてはいるが、端正な顔立ちのネフェルト王妃の座像、ファイアンスという真っ青なガラスのカバの像が印象的だった。

 新王国時代(BC1565年〜750年)では、巨大なトトメスT世の頭部、キリッと凛々しいトトメスV世の彩色レリーフ(ルクソール博物館からの唯一の出品。他の122点はすべてカイロ博物館から)が見物。アマルナ芸術としては、アクエンアテン王の立像の上部の巨大さ、尖った顎や切れ長の目の異様さが目を引く。

 末期時代は、神官アメンエムペルムトの彩色木棺と内蓋が実にカラフル。棺桶の内側にも絵が描かれている。

 黄金の遺産としては、やはりプスセンネスT世の黄金のマスクが目玉だろう。大きさは50cmくらいと意外に小さいものだったが、まばゆい輝きは圧巻だ。鎌首を持ち上げた聖蛇ウラエウスが額に載っているのは、王の威厳を示して余りない。一緒に出土したサンダルや容器も金である。

 シェシェンクU世の胸飾りもすばらしい。少しくすんではいるが、ラピスラズリのスカラベ(ふんころがし)の彫刻を、回りを金で囲ったものだ。

 以上だが、大英博物館やルーブル博物館のエジプトコーナーと比べると、いささか小ぶりな展示という感じであった。輸送のことも考えると、仕方ないのだろうが。ゆっくり見るなら午前中の早い時間をお奨めします。

 なお、東京国立博物館では、「日蘭の交流」という特別陳列を9月24日まで開催中。

 先だって重要文化財に指定されたエラスムス像(これは、リーフデ号の船尾に付けられていたもの)や南洋鍼路図というリーフデ号の航海用地図が見物。東京の八重洲とは、ヤン・ヨーステンの屋敷があったことに由来していることは初めて知りました。

 以上

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