国宝醍醐寺展&記念声明

 平成13年4月28日、東京国立博物館に朝十時に行ったのだが、醍醐寺展はすでに多くの見学者で一杯であった。これだけの国宝、重要文化財が一同に会するのは、初めてのことであり、人気の高さがうかがえる。

 全部は無理なので、国宝に絞って紹介したいと思う。

 五重塔羽目板絵断片は二面あって、絵に動きがある。赤や緑の彩色も残っていた。

 閻魔天像は、意外にも女性っぽいふくよかな絵であった。

 五大尊像五幅は、この展覧会の目玉の一つであろう。真っ赤な炎を背景に、目を怒らせた仁王様が5人並んだ様は、まさに壮観であった。

 文殊渡海図は、像に乗った文殊菩薩様が、波の上を渡っていく構図であるが、お顔だけが正面を向いているのは、妙にインパクトが強い。

 絵因果経は、釈迦の生涯を描いた絵巻物で、上半分に絵が、下半分に経が分けて書いてある。絵の方は、わりとカラフルだ。

 処分状は、醍醐寺の僧を罷免することを記した文書で、聖宝の筆として唯一現存するものである。太い字で力強い。

 狸毛筆奉献表と大日経解題は、ともに空海の筆である。前者は、嵯峨天皇に上奏したもので、まさに達筆である。後者は、自分のメモ用なのか、あまり三筆としての迫力は感じられなかった。

 当流紹降教誡は、後宇多天皇の筆で、字体は流れるような印象である。

 天長印信は、後醍醐天皇の筆で、こちらの方は太く大きい字である。

 薬師如来座像および両脇侍像は、平安時代の913年に作られたもので、今回のもう一つの目玉であろう。3mほどの高さのご本尊は、左手に薬瓶を持ち、民衆の病を救ってくださる。目は半眼に閉じており、とても落ち着いた印象である。

 以上、国宝のみを紹介してきたが、ほかにも見るべきものは多数ある。一時間半ほどはかかるだろう。

 展覧会を見た後、講堂で行われた声明に参加した。毎年2月23日に行われる「仁王会」の再現である。

 20人ほどの僧侶が一斉に経を唱えると、ものすごい迫力がある。一時間半ほどの儀式であったが、終わった後は、何だか精神が高揚しているような感じを味わった。

 本展は、5月13日まで開催中です。

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