4.9少しは効果があったこと
A呼吸法(座禅・瞑想)
今、呼吸法がブームである。それは、空前のヒットとなった、アニメ「鬼滅の刃」の影響が大きいだろう。「全集中の呼吸」が、はやり言葉になっているほどだ。
アニメでは、「水の呼吸」など14種類の呼吸術があり、それらをマスターすると、とてつもない力を発揮できることになっている。作り話とはいえ、呼吸に潜在能力があるのは間違いのないことだ。自律神経の中で、唯一自分でコントロールできるのが呼吸である。心臓の拍動や発汗などは、自律神経が勝手にやっているので、自分ではどうにもならない。
また、呼吸法ということでは、マインドフルネスが、少し前からアメリカでブームになっている。座禅をベースにした瞑想法で、最近では日本にも逆輸入されている。
座禅や瞑想は、お釈迦様以前からの長い歴史がある。私は、これの入門編を今でも日課にしている。「数息観」というもので、やり方は簡単である。
まずは、背筋を伸ばして座り、20〜30秒かけて息を吐く。呼吸というくらいなので、吐くのが先である。そんなにゆっくりはできないと思うかもしれないが、慣れてくれば可能だ。へその少し下の丹田を意識し、ゆっくり凹ませるようにする。自分が今息を吐いている、ということだけを意識する。
息を吐き切った後は、自然に空気が入って来るままにまかせる。やはり、20秒ほどかけて吸う。この場合も、お腹が膨らんでいる、ということだけに意識を集中させる。
その際、イ〜チと頭の中で数える。ヒトツでもよいが、イツツやヤッツと混同することがあったので、私は、イチ、ニ、サンを使っている。10迄行ったら、またイチから数え直す。
10呼吸を1セットにして、何回か繰り返す。今は、寝る前に1セットやっているが、鬱がひどい時は、2〜3回行っていた。
数息観がいいのは、その間だけは、頭の中が空っぽになるということである。鬱の時は、絶えず考えているので、心配事が堂々巡りしてしまう。そのループを、一旦断ち切ることができるのが、最大のメリットだ。
仏教の究極の瞑想も、第二の矢を放たないことを主眼としている。例えば、誰かに非難されたとしよう。すると、すぐに反応して、もしかしたら私のことを嫌っているのではないかと考えてしまう。ならば、こちらもあいつとは付き合わないようにしようなどと、さらに考えが広がってしまう。たまたま相手の機嫌が悪かっただけかもしれないのに。
刺激と反応の間にはスペースがあることを理解し、次々とあらぬ考えを浮かべないようにする、というのが第二の矢を放たないということだ。刺激は刺激として受け止め、その後は考えない。
4.6章認知療法で触れた「自動思考」も、同じことを言っているようだ。知らず知らずのうちに、認知が歪んでしまうことに、自ら気付くことが大切だ。
数息観には、もう一つ付随するメリットがあった。体が温まって、安眠につながるということだ。10呼吸もすれば、真冬でも、うっすらと汗をかくほどである。冷え性の私にとって、足先が暖まるのは、とてもありがたかった。
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