5.3鬱病を発症し相談室へ
第2章で記したような症状がいろいろ出たが、それは、直前の管理職研修で学んだ、鬱病の症状そのものだった。私は、作家としても有名な精神科医斉藤茂太氏の病院を電話帳で調べ、その番号に電話した。すると、後を継いでいた息子さんが出て、次のように言った。
「あなたのような大企業には、社内に相談室があるはずだ。業務の内容をわかっているので、町医者にかかるよりもいい。会社に知られたくないという気持ちもわかるが、プラスのメリットの方がはるかに大きい。」
私は、その言に従い、会社の相談室に行った。そこで鬱病と診断され、薬を処方されるとともに、2週間の休養を申し渡された。それを、私は、年休で処理した。忙しくて休む暇がなく、年休が30日以上余っていたこともあるが、病気休暇が有給だということを、その時は知らなかったのである。1日だけの休みなら医師の診断書は不要だし、診断書があれば、最長1年は有給で休める。
その後、じんましんなどの副作用が出て、さらに1ヶ月の休養が必要と診断された。年休が足りないと産業医に訴えると、そこで初めて、病気休暇のことを教えられた。まったくもって、管理職失格である。
復職後、私はプロジェクトから外れ、元の営業の仕事に戻った。
数ヶ月後、プロジェクトは中止となった。出口の見えない状況に、ユーザが見切りを付けたのだ。契約は、きっちりとやっておいたので、それまでにかかった費用は、全額もらえたようだ。
なお、私は、部長がトイレの個室で呻いているのを、何度も聞いている。後になって、血を吐いていたことを知った。
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