6.6貧乏をこじらせたエピソード
A「中学出たら父ちゃんの片腕になって働くんだぞ」
−祖母の言葉に反発するも自責の念が(小学6年)
私立中高一貫校に合格した私は、意気揚々と本家に報告に行った。だが、これといった反応がないどころか、祖母からは、表題にあるような言葉を浴びせられた。彼女にすれば、封建農家に育った者として当然の言葉を発しただけだったのだろうが、私は、強いショックを受けた。
祖母は、長男の私をいつも優遇してくれた。お菓子なども、私には多く出し、妹には少ししか渡さなかった。合格も喜んでくれると思っていたのに、ガッカリである。冷たい態度に私は反発し、以後、祖母とは口をきかないようにした。
すると、祖母は、急に妹を可愛がりだした。手のひらを返すような行いに、私は、ますます祖母を無視するようになった。
しばらくして、祖母は亡くなった。亡骸の横で、私は、恐ろしくなった。
私が冷たくしたせいで、祖母は死んでしまったのではないか。何と、自分は悪い子だったのだろう。このことを、誰かに気付かれてはいないだろうか。
小学生の私は、強い自責の念に駆られた。
次章 B「今度はお前の家にいこうぜ」−友人とは親密にならないようにする(中学1年)へ