7.7支社の不始末の尻拭いをさせられる
鬱病は、ますます悪化していた。それでも、何とか頑張って、会社には行っていた。仕事の方は、定職は与えられず、営業部門での提案書作成の手伝いなど、日雇い労働をこなしていた。
若手を率いてのドイツ出張もあった。主治医に相談したところ、当時出回り始めた携帯電話の番号を教えられ、何かあったら電話するようにと言われた。本音を言うと、ドクターストップを期待していたのだが、そうはならなかった。
案の定、実際に危惧していたことが起こった。フランクフルトで国内線に乗り換えた際、過呼吸になり、パニックに陥ったのだ。
今考えれば、無理をしたと思う。この時休んでいれば、深手を負うことはなかったのではないか。
その後、火を噴いた関西支社のプロジェクトの火消しを任されることになった。この間の経緯については、以下の3本の紀行文におけるP.S.部分を引用する。出張期間に訪れた京都の紀行文に付加したものだ。
・・・日本の史跡を巡る85 北野天満宮・船岡山・金閣寺
P.S.
関西出張は長期戦になりそうである。関西支社の不始末のリカバリーは、先が見えていない。来週早々、また大阪へとんぼ返りとなる。
・・・日本の史跡を巡る86 帝塚山古墳&住吉大社
P.S.
大阪のホテルに缶詰になって、1ヶ月近くが過ぎた。早朝にホテルを出て、深夜に寝に帰る、という生活がずっと続いている。全く太陽の光に当たっていない。
狂っている。
この会社の御偉方も、また、それを受け入れている自分も。
関西支社の不始末リカバリーの応援だった筈が、今は、東京本社の仕事になってしまっている。
応援人数も20人ほどに増えたが、急な要請に出てくる要員に、まともな奴がいるはずもない。かえって足手まといだ。幹部だって、そのことはわかっているのだろうが、他に打つ手がないのか。
誰も、問題の全体像を掴んでない。終息はまったく見えていない。
今回の旅は、実は、半日の雲隠れである。誰にも告げずに逃避した。夜討ち朝駆けの「やってる感」で、皆、自分を納得させているだけだと思い至ったからだ。
だが、明日から、また向き合わなければならない。神仏の御加護を。
・・・日本の史跡を巡る87 銀閣寺&西本願寺
P.S.
1ヶ月に及んだ関西出張が終わった。問題が解決したわけではない。それどころか、さらに東京から要員が増強されている。
実は、私の心と体が限界に達したため、解任されたのだ。
この数日、まったく頭が働かなくなった。何もできない。
きっと、本来持っている自己防衛機能が発動したのだろう。
若い頃は、こういった極限状態にも、半年ほど耐えることができた。だが、歳のせいか、もう無理がきかなくなっている。
ともかく、今はゆっくり休みたい。
・・・(引用終わり)
この後、私は、半年ほど会社を休むことになる。
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