8.再再発する−50代

 8.1仕事がない−戦力外

 平社員となった私は、監査部門に移り、品質監査や環境監査に当たる後輩社員の補助をしていた。週に1回程度、監査の付き添いとして出かける日以外は、特に何もすることがなかった。かといって、他に仕事を与えられることもなかった。

 はるか年下の上司や同僚たちは、腫れ物に触る思いだったろうが、皆いい人たちで、飲み会やレクリエーションにも誘ってくれた。だが、鬱の時は、人との交流が重荷になる。私は、それらに出席することはなく、昼食さえ一緒にとることはなかった。妻の作ってくれた弁当を持って、会社近くの公園で一人食べる毎日だった。

 強度の鬱病など、回復が見込めない精神病は、離婚原因の1/5を占めるそうだ。女房も大変だったと思うが、よくぞ、私を見捨てなかったものだ。一応、感謝しなければ。

 この頃の数年間は、どうでもいい講演会に出かけたり、時には、本屋や図書館で時間を潰していた。一日中席に座っているのは、かなりの苦痛だったので。

 そんなわけで、鬱が好転する兆しはまったく見えなかった。

次章 8.2何もかもが嫌になる

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